福島県会津若松市で、県立高校３年の男子生徒（１７）が、切断した母親の首を持って自首し、殺人容疑で逮捕された事件で、母親は右腕も切断され、腕は室内の植木鉢に差されていたことが１６日、分かった。腕は白い塗料で色づけされていた。また、少年は友人に「学校に行きたくない」などと悩みを打ち明けていたことも判明。会津若松署はこの日午後、殺人、死体損壊容疑で少年を福島地検会津若松支部に送検した。

母の首だけではなかった。母親の右腕は付け根から切断され、少年のアパートの室内にあった植木鉢に差さっていた。白い塗料で、色がつけられていたという。母親の両手には、襲ってきた息子に抵抗してできたとみられる傷が付いていた。

切断に使ったとみられるのこぎりも、包丁とともに室内で見つかった。少年は会津若松署の調べに、事前にのこぎりを買ったと供述。母親の血は布団を中心に付着しており、遺体をほかの場所に移動させた形跡はなかった。

このことから同署では、少年は就寝中の母親を布団の上で包丁で刺す一方、頭部などをのこぎりで切断したとみている。同署はこの日、本格的な取り調べを開始。午後には少年を殺人、死体損壊容疑で福島地検会津若松支部に送検した。

少年は両親に対する不満は漏らしていない。ただし、４月中旬、親しい友人（１６）に「同級生から嫌がらせされていて、学校に行きたくない」と話していたことが分かった。犯行現場のアパートに友人を呼び出し、「親には相談できない」と漏らしたという。

この友人は、少年とは別の学校の生徒で、昨年夏に知り合い遊ぶようになった。４月上旬、少年は笑顔も見せていた。しかし、最後に会った今月１３日、アパートでテレビゲームをしたが、以前は負けても落ち着いていた少年が、コントローラーを投げつけるなど、いらだっていたという。犯行の２日前だった。

このとき、部屋には刃渡り２０センチ近いナイフがあった。それでも友人は「そんなことをするようにはみえなかった」と話している。一方、少年が通う高校では、少年は昨年９月ごろから休みがちで、４月１６日からは欠席していたが「いじめはなかった」としている。

異様な犯行形態や、少年が精神科の治療を受けていたことなどから、同署と地検は精神鑑定を実施する方針。この日、少年が留置先の猪苗代署から出る際は、署員は足元まで隠れるようにビニールシートを広げ、報道陣に見えないよう配慮。少年と思われる人影は、下を向いた姿勢で、足早にスモークガラスのワゴン車に乗り込んだ。