【ヤクルト０－１中日】ヤクルトの石井一久投手（３３）が江夏を超えた。１７日、中日戦の７回、小笠原から空振り三振を奪って史上４８人目の通算１５００奪三振を達成。１４１３イニングでの達成は元阪神・江夏豊氏（野球評論家）の記録を３５年ぶりに更新する史上最速記録。８回５安打９奪三振で１失点完投の意地を見せながら、チームは零敗で７連敗。笑顔なき大記録達成となった。

史上最速ペースも石井一の笑顔は一瞬だけだった。７回、小笠原をスライダーで空振り三振に仕留めて通算１５００奪三振達成。しかし、試合に敗れたとあっては、エースが喜べるはずもない。

「力を誇示するには数字で表せるのがいい。投球スタイルは変わっても三振の取り方は知っていますから」

メジャーでプレーした４年間を挟み、日本球界では１２年目。デビューから投球回数１４１３回での記録達成は９２年の入団当初、野村監督（現楽天監督）から「凄い投手だから話をよく聞いておけ」と紹介された江夏氏の１４２３回を更新するスピード記録だった。９三振を奪い、１失点完投でも試合に負けた。「本当はあそこでも三振を取りたかった…」と４回２死一、二塁から森野に中前適時打を浴びたシーンを悔やんだ。そこには投手としての美学が詰まっている。「走者がいるときは打球を前に飛ばさせたくない。そういう投手って怖いじゃないですか」。ピンチで三振を奪える投手が理想だからこそ、ここ一番で奪えなかった１つの三振を悔やんだ。

「僕もだいぶ受けさせてもらったけれど（記録は）すごいね」。古田監督は中４日で奮投した左腕を称えたが、チームは０５年以来の７連敗。借金は９８年５月以来の１２だ。

「僕が入団してから弱いヤクルトを見たことがない。昔の弱小球団には戻したくない。ここが頑張りどころなんです」。エースの悲痛な叫びは、チームの危機を表している。

＜中日小笠原１点死守＞中日の小柄な左腕・小笠原が８回を散発４安打。９回は岩瀬にマウンドを譲りプロ初完封はならなかったが、三塁を踏ませぬ好投で、堂々の２勝目。チームの５連勝に貢献した。緩いカーブを有効に使った。５回一死一塁では青木にカーブをひっかけさせ、二ゴロ併殺に取った。援護は４回にもらった１点だけ。苦しい展開だったが「なるべく気にせず、そのうち点を取ってくれるだろうと思って投げてた」とさらりと話した。

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